井上名物父&祖父の日記掘り出し物再録 コラム - 井上名物

井上名物について

2012/04/05更新コラム, 井上名物

だんちゃん(団田芳子さん)との共著『大阪名物』の東京編ではないけれど、井上が日常や取材先で見つけてきためっけもんを気まぐれに紹介していきます。

2012/04/30「長池昆布の『花山椒』」

大阪の長池昆布さんから「花山椒」が送られてきた。
「花薫(はなかおる)」と書いた熨斗つきで。
これ、口当たりとてもとてもまろやか、山椒の香りほんのりしゃっきりの春の味覚。

山奥に生育する山椒の木には「実」の成る木と
「実」は成らずに花だけが咲く木とがあるそうで、
後者の、開花直後の山椒の花だけを摘み取って、
独自の製法で煮詰めたもの、だとか。
http://www.nagaikekonbu.jp/commodity05.html

今年のは、口にした後の余韻が、例年のに増して、残る。
キリキリキリと(いい意味で)、ずうっと喉に残る。
安易に「美味」って言葉を使うのもなんだけど、
「美味」としか言いようのない美味の極地だと思う。

父の診療所がご近所だったので、長池昆布さんとは長い長いおつきあい。
『大阪名物』に「白とろろ」を紹介したし、
近刊予定の『関西名物』には「汐昆布極上」を紹介予定だけど、
これは季節限定&数量限定&要予約なので、ここだけで密かに紹介。

来年のぶんの予約を、今から

2012/04/29「コデマリ」

コデマリが、めちゃくちゃきれいに、たわわに咲いた。ベランダのプランターに。
垂れた枝に、白い小花の集団。
緑の若葉と相まって、風がちょっとでも吹くと、さらさらと揺れる。

「一番好きな花は?」って、もし聞かれたら、
「コデマリとノウゼン・カズラ」と答える、
マイ・フェイバリット2のうちの一つ。

決してマメに家に花を飾るほうじゃないけど、
この季節だけは別で、毎年、山盛りのコデマリを買ってきて飾るのが、
たぶん10年以上前からの、習慣というか年中行事だったのよ。
そういや、大阪の家の近くの遊歩道の下のコデマリ公園、
めちゃくちゃきれいで、この季節はわんこと朝夕行ってたわ。

去年、この家の近くのお花屋さんには、切り花のコデマリが売ってなくて、
しかたないなあと、植木鉢入りの小さいのを買った。
花咲く季節が終わってからは、ずうっと放ったらかしだったのに、
コデマリの自然力、たいしたものだ。
去年より、ずっとずっと大きくたわわ。やったね!

今夕、ベランダでビールを飲んでやろう。
ビールは、ヱビスの琥珀をはりこもうっと。

2012/04/05「北海道 開拓おかき」

昨日、お向かいの平さんから「北海道の義姉がお土産にくれたので、お裾分け」ともらった「北海道 開拓おかき」。

まず、ネーミングにしびれた。そして、味にしびれた。洗練と真反対。ごつごつしていて、味もごつごつしていて、甘エビバージョンには甘エビを、松前いかバージョンには烏賊を、これでもかこれでもかと潰しまくったようなモノが混ざっていて、この朴訥さがイカしてる。

「遠く開拓時代に思いを馳せてみました。こ正月の頃、固くひび割れたお供え物を金づちで細かく砕き、揚げて食べたあの味」とパッケージに。うひゃ〜。
大好きな桜木紫乃さん著『ラブレス』(←直木賞候補、吉川英治賞候補になった)に出てくる「開拓小屋」風景彷彿するではないか。これを商品にした砂川市の北菓楼さん、さすがだわ。

ちらりとmixi日記に書くと、札幌出身の友人カタさんがすぐさま食いついてきた。
彼女の北海道土産のベスト3に入るのだそう(あとの2つ、知らないものだった)。
これ、まじ、おすすめです。

2012/04/04「街道文庫」と『象の旅』

「街道文庫」は、北品川商店街(品川宿跡)にある、文字どおり全国の街道の本ばかりずらりの古書店。ここ、スゴかった。

30年ほど前、江戸川区役所に勤めていた30歳くらいの青年(!)が、年末年始の休暇に「親戚のある関西まで走ってみよう」と。それをきっかけに、「街道って、ステキじゃん」(←こんな軽いノリじゃないかも)と街道の虜になり、あちこちの街道を歩くわ、走るわ、お給料の6割を街道関係古書買い集めるわ・・で30年経過。4万冊集まり、定年を迎えた去年、満を持して開いたという古書店なのです。

取材に行った時、街道の話に加えて、宿場につきものの色街のこと、朝鮮通信使のこと、それにご専門の建築のことなどなど、何を聞いても、すぐさまご回答。枝葉もつけてくださる。そういうの好きなあたしは、あっという間にお気に入りマーク!

ひゅっと目にとまった『象の旅』(石坂昌三著、新潮社。1992年刊)という本。1728年(享保13)、日本に初めて象が長崎に着いて、江戸まで80日間旅した模様を描いてるって。「その象は、浜離宮で将軍らに愛でられ、余生は中野で余生を過ごしたんですよ」とかって、店主。

買いたかったのだけど、その日財布を忘れていっていたあたし(そういうことは時々ある=300円すら持ってなかったのだ)。後日、買いに行きましたわよ。
読みましたわよ。いや〜、面白かった。著者に会いたくなった。
というわけで、「街道文庫」と『象の旅』を、第1回「井上名物」に。

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